アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
原発爆発
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原発はなぜ爆発したか? この3つの原子炉建屋の爆発の原因について、「国会」「政府」「民間」「東電」の4つの事故調査報告書が出された今も、実はその核心部分がはっきりしていない。なぜなら、「現場検証」ができないうえに、東京電力が詳細な事故データを公開せず、唯一権限を持った「国会事故調」も伝家の宝刀である「国政調査権」を行使しなかったからである。
本書は、日本テレビの解説委員・キャスターとして原発報道の現場に立った著者が、4つの事故調査報告書を読み込み、独自の取材を重ねて考察した、原発事故の全体像に迫った労作である。
Ⅰ章 あの時、何が起きたのか―原発事故の実相
Ⅱ章 原発はなぜ爆発したか―事故原因に迫る
Ⅲ章 原子炉建屋を吹き飛ばした「水素爆発」の脅威
Ⅳ章 行くも地獄、戻るも地獄―〝負の遺産〟をどうするか
倉澤治雄(くらさわ はるお)
科学ジャーナリスト。1952年千葉県生まれ。1977年東京大学教養学部基礎科学科卒。79年フランス国立ボルドー大学大学院第三博士課程修了(物理化学専攻)。80年日本テレビ入社、社会部、政治部、経済部、外報部、北京支局長、経済部長、政治部長、解説主幹を務める。2012年9月日本テレビ退職。
主な共著書:『われらチェルノブイリの虜囚』(共著、三一書房、1987年)、『原子力船むつ─虚構の航跡』(現代書館、1988年)、『取材される側の権利』(共著〈ペンネーム・小泉哲郎〉、日本評論社、1990年)、『徹底討論 犯罪報道と人権』(共著、現代書館、1993年)、『テレビジャーナリズムの作法』(共著〈ペンネーム・小泉哲郎〉、花伝社、1998年)。他に原発関連のルポ多数。 ●担当編集者より
3.11震災直後から危機的状況に陥った福島第一原発について、私たちは洪水のような報道、「国会」「政府」「民間」「東電」の4つの事故調査報告書を前に、呆然と立ち尽くしたまま「思考停止」状態に陥った人は、私も含めてたくさんいるんじゃないだろうか?
このまま「3.11以前」に戻ったような日常を続けることは、「戦後」の日本人が結局「戦争責任」と向き合わないまま今日に至った流れの延長線上にあるのではないか?
「戦争」と「原発事故」はその性質や規模において大きな違いがありますが、国民の生命・財産に大きな被害を与えたこと、そしてそのことを日本人がどう受け止めて、教訓として未来に生かしていけるかを考えることは、共通しているように思います。
そのために、「原発事故」の全体像をつかめる本を作りたいと考え、震災直後からTVキャスターとして報道の最前線に立ち、4つの事故調を読み込んだ科学ジャーナリストの倉澤治雄さんに執筆をお願いしました。
地震大国でありながら、50基の原発を抱える国に暮らす私たちは、福島第一原発の事故、大量の使用済燃料や高レベル放射性廃棄物の存在から目をそらして生活することはできません。ぜひ、本書を読んで、原発をどうするのか、考えていただきたいと思っています。
(真鍋)