アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
無能と失敗の社会学
大失敗を生みだす者たちの正体を暴く社会学的分析
「失われた10年」と言われたまま没落の一途をたどる日本社会を「無能」と「失敗」をキーワードにして読み解きこの国の現在地を探る
著者 | 小谷 敏 著 |
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出版年月日 | 2024/05/01 |
ISBN | 9784874988817 |
判型・ページ数 | 4-6・360ページ |
定価 | 本体3,000円+税 |
在庫 | 在庫あり |
長い鎖国の時代から開国して一気に帝国主義国の仲間入りを果たして「一等国」になったと思ったら、日中戦争・アジア太平洋戦争の大敗北。
アメリカの庇護の下、復興から高度経済成長へと突き進み、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と賞賛されたと思ったらバブル崩壊、以後は「失われた10年」が20年、30年と続き、近年はパンデミック・戦争・大インフレが追い討ちとなって政治も経済も没落の一途をたどる日本社会。
登りつめたと思ったら転落を繰り返すこの国の歴史を、「無能」と「失敗」をキーワードにして読み解き、「後ろ向きにしか進めない国・日本」の現在地を探る。
第1章 「すること」から「であること」へ──丸山眞男の憂い
1 「丸山眞男連続殴打事件」考
2 「であること」と「すること」を読む
第2章 七月八日の銃声──「お友だち政治」の果てに
1 「老害」と「世襲」──新しい芽を摘み取る者
2 忖度、自発的隷従、上級国民──「クローニー・ポリティクス」の起源と流行
3 七月八日の銃声──「お友だち政治」の果てに
第3章 恫喝と冷笑──「声」を圧し潰す力
1 「来た時よりも美しく」──日本庶民の美質と限界
2 「分際をわきまえろ!」──ゾンビ儒教主義者の恫喝
3 冷笑する文化英雄──シニカルな日本の私
第4章 明仁が丸山を読む──「象徴」とは何か
1 昭和天皇が象徴したもの
2 敗戦後日本の精神的空洞──あるいは「内的自己」と「外的自己」の分裂について
3 明仁が丸山を読む──「象徴」とは何か
第5章 「訓練された無能力」はその来歴を語りうるか
1 マートンと「官僚制の逆機能」──「訓練された無能力」との出会い
2 アメリカンドリームの闇──ソースタイン・ヴェブレン
3 ヴェブレンからバークへ──「訓練された無能力」の二つの形
第6章 日本の「訓練された無能力」──後ろ向きにしか進めない国
1 町人国家の繁栄──高度経済成長期からバブルへ
2 経済の奈落へ──「失われた一〇年」
3 後ろ向きにしか進めない国──日本政治の訓練された無能力
第7章 勉強のできる愚か者が世界を滅ぼす──暴走するメリトクラシー
1 心理学と優生思想のディストピア──メリトクラシーの逆説
2 教育が分断する世界──二〇一六年の騒擾
3 頭のいい愚か者が世界を滅ぼす──暴走するメリトクラシー
第8章 日本における驕りと屈辱の諸相について──メリトクラシーの機能不全
1 メリトクラシーの機能不全──日本社会の現状
2 学歴エリートたちの「傲慢と偏見」
3 親ガチャ・貧困の文化・労働の承認──「屈辱」を和らげるもの
4 「日本版絶望死」の方へ
第9章 『失敗の本質』から何を学ぶか──日本的組織の病理
1 『失敗の本質』はなぜ書かれたのか
2 賢い人たちがなぜ間違うのか──「集団浅慮」を生み出すもの
3 日本的組織の「訓練された無能力」──『失敗の本質』から何を学ぶか
第10章 オリンピック、パンデミック、ジャニーズ──「崩壊の時代」の諸相
1 「崩壊の時代」とは何か?
2 祝賀資本主義がやって来た!──オリンピックの崩壊
3 パンデミックもやってきた!──医療と行政の崩壊
4 ジャニー喜多川の「性加害」──芸能とメディアの崩壊