アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
コスタリカ
「純粋な人生」と言いあう 平和・環境・人権の先進国
コスタリカは一つの国として平和のモデルを示した。軍隊を完全になくし、もめ事は武力や威嚇でなく穏やかな交渉で解決する。しかも一国のみの平和に甘んじるのでなく、世界に平和を輸出している。平和国家の具体的な見本だ。
平和は単なる理想ではない。平和は現実である。それを地で行くのがコスタリカだ。コスタリカが見本を示した非武装国家は、その後、パナマやハイチなどにも広がった。今や世界の20か国以上が軍隊を持たない。コスタリカが主導した国連核兵器禁止条約は、2021年に発効した。
本書は、中米の「小国」の選挙システムや憲法法廷、教育・医療制度、環境保護活動などを紹介しながら、自由と民主主義、人権「大国」で育まれる人びとの意識を探る。そして、平和を少しずつ目に見える形にしているコスタリカにならい、日本の憲法9条をただ持っているだけでなく、9条を活かして世界に平和を広める努力を提言する。
コスタリカを知れば希望が湧いてくる!
*平和を創造する国
*実現したカントの夢
*兵舎を博物館にしよう
*攻められない国づくり
第1章 平和、民主主義、人権大国
1 純粋な人生~コスタリカとの出会い
*あなたは大切な人だ
*銃をとる国と鉛筆を持つ国
*中米のスイス
*優しさこそコスタリカのゆえん
*大切でない人間は一人もいない
*純粋な人生
2 「平和の輸出」を実践
*国連核兵器禁止条約を主導
*積極的非武装中立宣言
*ノーベル平和賞を受賞
*平和の輸出
*日本にふさわしい国際貢献
*最も良い防衛手段は防衛手段を持たないこと
*被爆国日本の役割
*日本とコスタリカにノーベル平和賞を
3 民主主義の現場を見る
*「個人の平和」が原点
*政治家を疑え
*あけっぴろげな国会
*子どもも法律を提案できる
*国会議員は連続再選禁止
*国会議員の半分が女性
*子どもの模擬投票
*子どもが選挙ボランティア
*民主主義の五要素
4 自立のための教育
*兵士の数だけ教師をつくろう
*教育の目標は本人が幸せであること
*小学生も落第する
*図書館は幸せへの道
*一人ひとり違うことを理解する
*刑務所が子ども博物館に
*幼稚園から平和教育
*国歌で称えるのは労働と平和
5 小学生も違憲訴訟――人権国家
*大学生が大統領を憲法違反で訴えて勝った
*小学生も違憲訴訟する
*愛される権利
*憲法裁判所
*もしもし憲法違反です
*人権は守られなければならない
*平和の権利
*刑務所にホットライン
第2章 人間にも自然にも優しい環境と社会
1 環境の平和
*ナマケモノや幻の鳥に出会う
*エコツーリズム発祥の地
*平和から自然保護へ
*大統領をやめ環境保護に
*平和と空気を輸出する
*自然エネルギー大国
*原発など必要ない
*世界初の気候変動目標
2 北欧並みの社会保障
*コロナとの闘い
*現場を指揮した最前線の医師
*中南米であげた最高の成果
*医療は無料
*社会保障で競い合う政党
3 コーヒーが奏でた歴史
*資源がなくて幸いだった
*コーヒーがもたらした繁栄
*自由を掲げる独裁者
*平等な社会が根づく
*小さな蚊になって
4 みんなコスタリカを目指す
*幸福度世界一
*工業化がもたらす不平等
*天国ではない
*我々は存在する
*たくましき女性たち
*難民すべてを受け入れた
*米国人も日本人も移住
第3章 もっと深く知ろう、コスタリカ
1 軍隊を廃止した背景
*武装蜂起
*次々に約束破り
*平和憲法の誕生
*軍隊はクーデターのもと
2 選挙最高裁判所は民主主義の砦
*第四権力
*デモの組織の仕方まで教育
*民主主義の日
3 国連平和大学で授業を受けた
*世界50か国の学生が学ぶ
*日本人の留学生
*私が受けた授業
4 憲法を活用する憲法法廷
*国民が気軽に憲法を使う
*訴えた最年少は4歳
*図書館に飾ってあるようなものだった
5 国立歴史博物館の展示から
*我々を導く星
*先住民とスペイン人の争い
*自由主義と近代化
*今日の問題を指摘
終 章 日本への教訓
*日本をこんな国にしよう
*攻められたらどうする
*米国従属からの脱却
*日本の裁判システムを変えよう
*社会変革の方程式
*九条の会
*コスタリカと連携して
あとがき