梅田正己のコラム【パンセ13】 元徴用工問題に抜け落ちた 歴史認識

韓国人の元徴用工への損害賠償問題がこじれて、ついに韓国への輸出に規制がかけられ、韓国経済の大黒柱である半導体の生産が土台から揺らぐ事態となった。



問題の発端は元徴用工の日本企業に対する賠償請求の訴えと、それを認めた昨秋の韓国最高裁の確定判決である。



元徴用工の要求の背景には、第二次大戦の末期、日本人の青壮年が根こそぎ軍に召集されたことで欠乏した労働力を補充するため、朝鮮から約70万人の労働者を徴用した歴史的事実がある。人々は賃金を強制貯金させられ、半数以上がそのままとなった。





元徴用工の要求には正当な根拠がある。しかし日本政府は、1965年の日韓基本条約で請求権問題は個人を含め「完全かつ最終的に解決された」としている。



だが当時の韓国は軍事独裁国家だった。そのあと甚大な犠牲を払った民主化運動により、韓国は民主主義国家に生まれ変わった。軍事政権下で結ばれた条約の文言を金科玉条としてはねつけるだけでいいのだろうか。



ドイツもナチス時代に他国民に強制労働をしいたが、2000年、その補償のための基金「記憶・責任・未来」を創設、半分を政府が持ち、残りを企業が負担した。その中にはフォルクスワーゲンやジーメンスも含まれている

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