アジア新風土記(98)フィリピン前大統領の「罪」 - 2025.03.31
日本人はなぜ「お上」に弱いのか
福澤諭吉と丸山眞男が紡いだ近代日本

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと云へり」
「一身独立して一国独立する」などの名言が知られた福澤諭吉は、「民主主義者」「平等主義者」として広く認知されています。しかし実際の福沢は、欧米列強と互角に渡り合える帝国主義国家への道のりを追求して、まず近隣諸国を侵略、収奪することのできる「強兵富国」を目指しました。
国内では愚民支配の最大の武器となる天皇制を活用し、天皇のために生命と財産を投げ出すことを国民に要求しました。
その福沢諭吉を「市民的自由主義」者として再評価し、戦後民主主義の理論的支柱にすえたのが丸山眞男でした。
福沢諭吉と丸山眞男、この二人の思想的結託を切り口にすれば、日本人の「お上」に弱い精神風土が見えてくるのではないかというのが本書のテーマです。
1 福沢諭吉を戦後民主主義の支柱に据えた丸山眞男
◆福沢三大名言を「天啓」ととらえた丸山眞男
◆丸山の解釈①「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと云へり。」
◆丸山の解釈②「一身独立して一国独立する」
◆丸山の解釈③「独立自尊」
2 丸山眞男と戦争責任・植民地支配責任問題
3 日本人は戦争責任と向き合えるのか──ある教育学者の認罪
4 「良心的兵役拒否者」が極端に少ない日本人
第2章 戦争責任=戦後責任論と「日の丸・君が代」強制問題
1 戦争責任の四位相
2 同調圧力装置「日の丸・君が代」
第3章 日本人の帝国「臣民」化を生涯かけて追求した福沢諭吉
1 福沢諭吉最大の発見! 愚民支配の道具としての天皇制
2 『学問のすすめ』と『文明論之概略』を正しく読む
3 福沢はどこで「人権」から「国権」へと軸足を移したのか
4 日本人に帝国「臣民」意識を植え付ける