アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
生涯編集者
戦争と人間を見すえて
身も心も天皇に捧げた軍国少年が、1945年8月15日の玉音放送を聞いて敗戦を受け入れられず、マッカーサーを刺し殺すことを決意、仲間と「殉皇菊水党」を結成。その後、「大東亜戦争」の欺瞞、戦争の真実を知るにつれて、深刻なアイデンティティー・クライシスに陥った。
サンフランシスコ講和条約・日米安全保障条約が締結された1952年に筑摩書房に入社、自身の人間回復を重ね合わせるように書籍・雑誌を編集してきた。
78年筑摩書房退社後、80年径書房を創業、「昭和天皇に戦争責任がある」と議会で発言した本島等・長崎市長に届いた7300通の手紙を収録した書籍を出版。径書房退社後も季刊誌『ひとりから』を創刊した。
およそ70年にわたる編集者生活。その原動力は、戦中戦後の悔恨と贖罪にある。
「自らの生を自らの手に」――天皇軍国少年が歩んだ人間回復の道のり。
「伝えたい」という志を今も胸に燃やし続け、時代と格闘する編集者の思想遍歴。
八・一五
財産遺言書
遺すべきは詫び状だ
Ⅰ すべては戦争だった
戦争ロボットからテロリストへ
ひとりになっても戦うぞ
日本の中国侵略
対米英戦争、第二次世界大戦へ
日本最後の日々
無条件降伏
取り残された戦争ロボット
テロリスト集団の結成
ロボット誕生の前史 34
鎖国から開国へ
押し寄せた西欧文化と尊皇攘夷
這いつくばされた人民
日清・日露戦争
朝鮮侵略
戦争のために学校があった
私の学校生活
サイタ サイタ サクラガ サイタ
白人コンプレックス
初めての女性体験
学徒動員
母の死
これはひょっとして
Ⅱ 突如、戦争が終わった
「真相はこうだ」
おれとはいったい何なのだ
事実と向き合う
初めて人間に出会った
ブロンズの裸婦
ふたりの日本人女性
閉ざされた未来
死ぬんだ、死のう
肉体が心を裏切った
流氷上の転向
自分の生き死にを自分の手に
友との語り
出版社に就職
血のメーデー事件
労働組合、そして共産党
恋愛から結婚へ
読者との出会い
私たちの生きる場所
日米安全保障条約
朝鮮戦争の勃発
日本の再武装と憲法
Ⅲ 戦争と昭和天皇
お聞きください、陛下
陛下よ、あなたは「神様」だったのです
あなたの「ご意志」は「絶対」のものでした
あなたは「中国侵略」を鼓舞激励されました
あなたの「作戦指導」はお見事です
あなたは「日米開戦」の「ご聖断」を下されました
あなたはしかし、いち早く「破綻」を予感されました
あなたはそれでも「戦争」に「未練たっぷり」でいらした
あなたは「最後の段階まで立派にやって……」とおっしゃられて
あなたの「終戦」の「ご聖断」の裏と表を拝見します
あなたをお送りするにあたって
天皇の戦争責任──『長崎市長への七三〇〇通の手紙』
「戦争責任はあると思います」
発言をまとめて刊行へ
径書房の忘年会
本島市長、出版延期の申し出
作業の中断
初版を絶版、『増補版』を刊行
後日談──市長と右翼
Ⅳ 時代は変わったけれど
戦前戦中がよみがえった
天皇の代替わり
安倍晋三をリードする日本会議
欧米メディア、こぞって警戒、警鐘
西欧列強の懺悔──「国際連合憲章」
きびしく求められる歴史の清算
「日本の戦争は自衛戦争だった」
天皇を考える
安保闘争から六十年
希望は私たちひとりひとりが作り出す
三つの旅
中国を訪れた
日本とドイツ、ふたりの少年
ドイツの政治家、日本の政治家
沖縄の知事選挙
激励から応援へ
沖縄から学ぶ
Ⅴ 生涯編集者
職業として、社会活動として
あなたはあなたを生きている。私もまた……
経営の危機、そして離婚へ
季刊誌『ひとりから』創刊
主権者革命を
生命の歴史が私たちを支える
恐竜はなぜ滅んだのか
あとがき