アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
親という名の暴力
境界性人格障害を生きた女性医師の記録
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現役で東大医学部へ。その輝かしいはずの人生が暗転したのは17歳の時、発症した境界性人格障害とうつ病だった。以後、精神科病院への入院8回、自殺未遂30数回……38歳で回復の契機をつかむまで、筆者に地獄の苦しみをもたらしたその病の原因とは――。
東大出身、現役医師である著者が、自ら病んでいった過程を赤裸々に描き出し、その体験から境界性人格障害の病因を徹底解明する!
筆者は、千葉大学教育学部附属中学校をトップで卒業、当時、東大合格者数全国三位と言われた東京学芸大学附属高校に入学し、現役で東大医学部へ。その輝かしいはずの人生が暗転したのは、17歳時に発症した境界性人格障害とうつ病でした。
以後20代から30代にかけて、精神科病院への入院8回、自殺未遂30数回……38歳で回復の契機をつかむまで、筆者に地獄の苦しみをもたらしたものは何だったのか――。 物心ついた時から母には「あんたはどうしてこんなこともできないの! ああ、じれったい、忌々しい、本当にいやになるわねえ」。そして父からは「お前は人間の屑。切っても赤い血もでない」「その腐った根性たたき直してやる」――両親からこれでもかこれでもかと投げつけられる嘲りと罵り、人間性を否定する言葉。とりわけ絶対的存在であった母には、ものの感じ方から考え方、感性や価値観までも支配され、その鋳型に嵌められた結果、一体自分が何者なのか、何をしたいのかがわからなくなっていく――。 親によって打ち砕かれ主体性と自尊心――。しかし、その両親もまた、その親から心を打ち砕かれる傷を受けていたのだ……。
親子関係が原因で子どもが精神を病む事例は非常に多く、その関係の本も沢山出ています。しかしこれだけ克明に、何が子どもの心を病ませたのか、その病んでいった過程を赤裸々に描ききった本は他に例がないはずです。 親の心ない言葉の暴力で不幸な子どもをこれ以上生み出さないようにと願って執筆された渾身の一冊を、子供を持つ多くの親たち、また同じ心の病で苦しむ人たち、その家族にお送りしたいと思います。
第2章 小学校低学年時代
第3章 弟の誕生から小学校卒業まで
第4章 中学生時代
第5章 高校時代
第6章 東大教養学部時代
第7章 東大医学部医学科時代
第8章 東大病院小児科での研修と都立府中病院時代
第9章 女子医大・心研の時代
第10章 東大大学院時代
第11章 臨床医への復帰と精神疾患の再発
第12章 最初の本格的な自殺企図
第13章 二度目の閉鎖病棟入院まで
第14章 懲罰の入院生活
第15章 自傷・そして自殺企図の習慣化
第16章 第2回H病院入院
第17章 奈落の底へ
第18章 最後の主治医との出会い、そして回復へ
小石川 真実(こいしかわ・まさみ)
一般内科勤務医。1957年生まれ。1982年東京大学医学部卒業。その後小児科医を3年間勤め、内科医に転向。17歳時に境界性人格障害とうつ病を発症し、30代半ばにピークを迎えた為、挫折と転職を繰り返したが、そんな中でも末期癌患者の在宅診療など、出会った患者、出会った仕事に常に全力投球してきた。現在もうつ症状が強く残る中、都内の病院に非常勤勤務している。自身の患者体験を活かし、一般内科外来の中で精神科領域の診療も手掛けている。