アジア新風土記(93) マカオの返還25年 - 2025.01.16
新英語教育2025年2月号 666
"can"という助動詞一つから自分の持っている能力と水俣病の現実を対比した熊本のWe Can Standの実践は当時の日本の英語教育界で大きな話題になりましたが、その基礎には長崎をはじめ、平和で安全な生活環境を求める子どもと大人の切実な声がありました。1968年に刊行された『新しい英語教育の研究』はそうした願いを実践面、理論面で明らかにした画期的な書物で民主的な英語教育の誕生を待つ多くの英語教師の共感を獲得したのです。
同書の「実生活との結合を十分に考慮して教材をつくるならば生徒は驚くほどの積極的な興味と意欲をもって英語学習にとりくむ」という言葉は端的に生活に密着した英語教育の内容と方法の重要性を語っています。
こうした歴史的経過をふまえた実践の蓄積を基礎にして、近年のオンラインによる外国との交流、留学生からの学びは英語教室の様相に多様な発展をもたらしています。
2月号の特集では主として九州ブロックの英語教育の特徴を「子どもの瞳が輝く英語の授業」としてとらえ、理論と実践を紹介しています。
まず巻頭論文では「英語教育と実生活の結合をもとめて」として羽野
祐司さんが九州の財産をさらに発展させるための理論的・歴史的提起を記しています。続いて羽野さんや福岡の糸山京子さんが中心となって、福岡・大分・長崎などでの学習会がオンラインでつながり学び合う様子が「地域学習会紹介」として紹介されています。
前述した「平和で安全な生活環境」を願う小学校での実践として大田貴之さんが平和への思いを折り鶴に込めたPeace Projectの実践を紹介します。
実践中学校の実践では福岡の 縣 文佳さんが「外に出よう,たくさん出会おう」として学習サークル「探しています」を通して得たものについて書いています。フィリピンやインドなどのご自身のスタディ・ツアーの経験を通じて子どもたちのアジアへの認識を深めています。
高校では佐賀の立石 斉さんが「『先生の授業なら出てもいいかな』と思ってもらえるために」という謙虚で多くの英語教師に通じる思いを込めた報告を記しています。
実践記録として最後をしめくくるのは 福岡の田中 路美子さん。福岡の高校で図書館学習と併行して協同学習の可能性を追求した熱い報告です。
今月号の特集の表紙の言葉として「『学びたい』意気は教師の心から」と書かれていますが、まさに学習の主体たる子どもたちの学習意欲は教師の心の中の創意と熱意に発するものだということが特集のことばの端々から感じられることと思います。
英語教育と実生活の結合をもとめて
熱くなってきた! 九プロ学習会
小学校でPeace Project
外に出よう、たくさん出会おう
「先生の授業なら出てもいいかな」と思ってもらえるために
始まりはいつも図書館
スマイル・レシピ
学習英文法の理論と実践
World Issuesを明日の授業に
英語教師のためのちょっと変わった言語学入門
学びを豊かにするICTオンライン授業
教科書語彙指導の工夫
確認!英語教育のキーワード
書評
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新英研の窓・編集後記