アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
カナダはなぜイラク戦争に参戦しなかったのか
クレジットカード決済、コンビニ決済などはこちらから
2004/2005 カナダ首相出版賞審査員特別賞受賞作品
9000キロの国境線で接し、政治・経済・文化のあらゆる面で〝一心同体〟と見られがちなカナダとアメリカ。しかし、カナダはイラク戦争に反対して派兵せず、米国主導のミサイル防衛にも参加しなかった。その背景には、国連を中心とする多国間協調主義を掲げてきたカナダ外交の基本戦略がある。建国以来、自立路線を追求してきたカナダ外交の歴史から学ぶ、超大国アメリカとの「つきあい方」。
第一章 カナダは参戦せず
「二〇〇一年九月一一日」の衝撃
アフガン戦争には参加
納得できないイラク戦争の正当性
「カナダは米国の五一番目の州ではない」
「世界唯一の超大国」に自制を呼びかける
米英の新決議案への支持は日本とオーストラリアだけ
米国の「失望」
「意見が合わなくても良き友人」
第二章 「反米」の歴史とカナディアン・アイデンティティ
ヨーロッパから北米大陸に渡った人びと
ケベック法とアメリカ合衆国の誕生
反米英国派ロイヤリストたちのカナダ移住
米国の脅威が「カナダ連邦」を成立させた
英国からの完全独立
深まる米国の経済的・文化的な影
カナディアン・アイデンティティとは何か
「平和愛好国」のカナダ、「好戦国」のアメリカというイメージ
安全で寛容なカナダ社会
先住民の権利尊重と保障
国是とも言うべき「多文化主義」
多文化主義の実態
「小さな政府」より「大きな政府」
第三章 カナダと米国の関係──経済と軍事
カナダは「象の隣に寝ているようなもの」
相互依存の経済関係
軍縮国家と軍事超大国
米国と一体化している防衛戦略──NORADとミサイル防衛
在加米軍一四七人と駐留軍法
軍事国家にならないカナダ
米国との「摩擦」の数々
九・一一テロ後、強化された米加国境警備
第四章 カナダの多国間協調主義
米国追随か、多国間協調か
米国に反旗をひるがえした過去
多国間協調主義の誕生
カナダの国際協調主義の歴史
自国の防衛より国際平和
対人地雷全面禁止条約を実現させたオタワ・プロセス
戦争犯罪人を裁く国際刑事裁判所の設立
人道的武力介入は是か非か
移民と難民を惹きつけるカナダのソフトパワー
「ミドル・パワー」は過去の遺物か
第五章 反米と親米の間でゆれるカナダの宿命
カナダ連邦政府の立場
米国との「温度差」
カナダ保守派の米国支持論
参戦論への反論
参戦拒否は的外れか
第六章 カナダの外交・防衛政策の基本戦略
不参戦・国連重視路線を継承
カナダの防衛政策と防衛予算
米国のミサイル防衛システムには参加せず
米国からの「報復」はあったのか
新しい国際政策の柱
日本はカナダから何を学ぶか──あとがきにかえて
参考文献
カナダ・アメリカ関係略年表