アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
集団的自衛権のトリックと安倍改憲
「国のかたち」変える策動
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「憲法改正して『国防軍』をつくる」「集団的自衛権行使を容認する」と主張する安倍晋三首相に対し、防衛省・自衛隊、在日米軍を22年間取材してきた著者が、「集団的自衛権のトリック」をあばき、改憲の狙いを探り、自衛隊が「国防軍」に変わって起こる未来を検証する。
*「戦前への回帰」は安倍首相によるクーデターか
*国家主義むき出しの「自民党改憲草案」が目指すもの
*「集団的自衛権」のトリックにだまされないために
Ⅰ章 あり得ない問題設定
1 安倍政権「改憲」の血脈
*教育基本法「改正」と防衛「省」昇格
*「憲法九六条改正」の悪質さ
*目指すは「権力者が国民を縛る国」
2 意外だった米国の冷たい対応
*安倍首相がオバマ大統領に“冷遇”されたわけ
*米国の優先課題は「戦争」よりも「財政再建」
*歴史認識の見直しが招く日本の国際的孤立
*四・二八「主権回復の日」制定の裏側にあるもの
3 懇談会四類型はだましか
*第一次安倍内閣と同メンバーの「懇談会」による報告
*日本有事の際、自衛隊は米艦艇を防護できるか
*「掃海艇派遣」と「洋上補給」を検証する
*自衛隊艦艇が米艦艇を防護する「非現実性」
4 米国を守ることの陳腐さ
*そもそも技術的に不可能な「ミサイル迎撃」
*日本はすでに十分すぎるほど「米国に貢献」している
*自民党のデマゴーグに乗せられる「野党・民主党」
*自らが立脚する「戦後体制」自体を否定するのか
Ⅱ章 海外の武力行使求める報告書
1 どうしてもやりたい「駆け付け警護」
*「ヒゲの隊長」の超法規的「駆け付け警護」論
*サマワの実態は「非戦闘地域」だった
*そもそも任務の範囲が違うオランダ軍と自衛隊
2 任務逸脱の原点はカンボジア派遣
*カンボジアPKOにおける「無茶な命令」
*アフガン戦争にかこつけた「武器使用基準緩和」
3 陸上での邦人救出はあり得ない
*「任務遂行のため」武器使用を認めるべきか
*邦人救出を名目にして「自衛隊の権限を拡大」の狙い
4 「武力行使と一体化」求める懇談会
*そもそも自衛隊PKO参加は「五原則」に基づく
*在日米軍基地を作戦行動に使うための「密約」
*官民の米軍支援を可能にした「周辺事態法」
Ⅲ章 「国家安全保障基本法」の罠
1 法律が変える憲法解釈
*「国家安全保障基本法」は実質改憲への近道
*自衛隊が「国民を監視」する
2 魔法のような議員立法
*憲法違反の法案でも、議員立法なら提出できる
*自民党は政権政党の「矜持」を忘れたのか?
Ⅳ章 「防衛計画の大綱」へ自民党が提言
1 「防衛を取り戻す」とは軍拡だ
*「専守防衛」から「脅威対抗型」へ
*平和国家の原則をくつがえす自民党の提言
2 「策源地攻撃能力」を主張
*いよいよ「大本営復活」か
*「敵基地攻撃能力」を検討した防衛省
*もしも「軍拡のドミノ倒し」が始まったら
3 核兵器保有への誘導路か
*弾道ミサイルを持つとは、核兵器を持つということ
*日本国内のプルトニウムで核弾頭は何発つくれるか
*技術的に可能でも核保有国になれないわけ
*「拉致事件」は平和憲法のせいではない
Ⅴ章 自衛隊の「国防軍」化からみえるもの
1 対米支援の犠牲になる自衛隊
*自衛隊が関わってきた「米国の戦争」
*イラクで米軍車両にはねられた自衛隊員の場合
*自衛隊はなぜ「事故隠し」をしたのか
*隊員より米軍のほうが大事な自衛隊
2 戦争呼び込む集団的自衛権の容認
*「集団的自衛権」で戦争の大義名分化
*「大義なき戦い」に「勝利」はない
*日本の「国防軍」保有で北朝鮮、中国との関係はどうなる
3 良質な若者は逃げだす
*北沢俊美・元防衛大臣の懸念
*「救護活動」にあこがれ自衛隊を志望する若者たち
*「国防軍」を貧困化した若者の受け皿にするのか
4 身内に甘い軍法会議
*「えひめ丸事件」にみる米軍法会議の実態
《資料》自民党新憲法草案(抜粋)
《資料》国家安全保障基本法案 (概要)
《資料》新「防衛計画の大綱」策定に係る提言(抜粋)
半田 滋(はんだ・しげる)
1955年、栃木県宇都宮市生まれ。下野新聞社を経て、91年中日新聞社入社、東京新聞編集局社会部記者を経て、2007年8月より編集委員。11年1月より論説委員兼務。1993年防衛庁防衛研究所特別課程修了。92年より防衛庁取材を担当。
2004年中国が東シナ海の日中中間線付近に建設を開始した春暁ガス田群をスクープした。07年、東京新聞・中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・協同ジャーナリスト基金賞(大賞)を受賞。
著書に、『防衛融解 指針なき日本の安全保障』(旬報社)、『「戦地」派遣 変わる自衛隊』(岩波新書)=09年度日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞受賞、『自衛隊vs北朝鮮』(新潮新書)、『闘えない軍隊』(講談社+α新書)など。