アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
国旗・国歌と「こころの自由」
歴史と法規範から検討する
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この一冊で「国旗・国歌」問題の本質がわかります!
「国旗に向かって起立し、国歌を斉唱せよ。従わない者は厳正に対処する」──強制と脅しの通知が東京についで神奈川でも発せられた。
国旗・国歌への職務命令による「忠誠」の強制は許されるのか?
裁判を起こした弁護団代表が、歴史を振り返り、法規範を総点検してその違憲・違法性を明らかにする!
「11・30通知」──東京についで神奈川でも
「確認の訴え」という裁判
求めているのは国旗・国歌への「忠誠義務」の不存在
Ⅰ 神奈川県立学校で今どんなことが起きているか
起立・斉唱強制に関する県教育行政の歩み
「国旗・国歌法」制定以前の状況
「国旗・国歌法」による「全校実施」の実現
「全校実施」の達成から「実施形態の画一化」の追求へ
さらに「国歌斉唱時の全員起立」へ
各学校における強制の実態
04年度卒業式における強制
卒業式以後の圧力
卒業式・入学式の変質
生徒が主役だった卒業式・入学式
変質を強いられた式典
Ⅱ 「日の丸・君が代」と学校儀式の歴史
なぜ歴史をふりかえるのか
明治憲法下の学校教育における日の丸・君が代の位置づけ
祝祭日の儀式での「君が代合唱」の義務づけ
「君が代」歌詞の公式解釈
学校での日の丸掲揚は満州事変以後
教育勅語体制の下の君が代・日の丸
日米開戦の年から学校儀式の細目を文部省が規制
戦後教育改革の中での君が代斉唱義務等の消滅
「極端な国家主義」への反省過程
学校儀式に関する制約の廃止
学習指導要領の中での日の丸・君が代の位置づけ
第1期…日の丸・君が代を全く取り上げていなかった指導要領
第2期…「国民の祝日」などにおける日の丸掲揚・君が代斉唱を奨励した指導要領
一九八五年の文部省による掲揚・斉唱率調査
第3期…「入学式・卒業式」などにおける日の丸掲揚・君が代斉唱を義務づけた指導要領
89年版指導要領以降の教育行政の展開
Ⅲ この裁判に適用される法規範
思想・良心の自由の保障
日本国憲法19条「思想・良心の自由」
市民的及び政治的権利に関する国際規約
「沈黙の自由」の保障
「京都君が代訴訟」判決
表現の自由の保障
日本国憲法21条「表現の自由」
バーネット事件での米連邦最高裁判決
意見の統一の強制は〝墓場〟という同一化をもたらす
教育に対する「不当な支配」の禁止
学力テスト裁判での最高裁大法廷の判決
教育基本法10条の趣旨
行政による教育内容への介入の限界
子どもの権利の観点から見た教師の責務
子どもの教育への権利を保障する責務
子どもおよびその父母の思想・良心の自由、信教の自由を保障する責務
子どもの意見表明権を保障する責務
Ⅳ 国旗・国歌に対する忠誠義務は存在しない
教職員の職務上の義務の根拠──地方公務員法と職務命令教職員の職務上の義務の根拠
法令上の義務は存在しない
国旗・国歌法から「義務」は導かれない
学習指導要領からも「義務」は導かれない
「職務命令」の限界
忠誠義務を強制する「職務命令」は思想・良心の自由を侵害する
忠誠義務を強制する「職務命令」は表現の自由を侵害する
忠誠義務の強制は子どもの権利保障の担い手としての教師の職責遂行を阻害する
この「確認訴訟」を成立させる法的な根拠
「確認訴訟」成立の前提としての「確認の利益」
「確認の利益」は明らかに存在する
Ⅴ 「歴史の記憶」は消せない
「戦後40年」の日本とドイツ
「歴史の記憶」が抹殺されようとしている
「市民の常識」を「学校の常識」に
あとがき