アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
全記録:横浜事件・再審裁判
第1次~4次再審請求・再審公判・刑事補償請求
著者 | 横浜事件・再審裁判=記録・資料刊行会 編 |
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ジャンル | 社会 > 言論 |
出版年月日 | 2011/10/03 |
ISBN | 9784874984666 |
判型・ページ数 | A5・890ページ |
定価 | 本体7,000円+税 |
在庫 | 在庫あり |
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1986年に始まった再審請求の目標は、冤罪を晴らすとともに、治安維持法下の警察・司法の歴史責任を問うことだった。
しかし第一次、二次の請求は“門前払い”同然。
第三次に至ってやっと再審の門をこじ開けるが、再審公判の判決は「免訴」。
だがその後の刑事補償請求において、ついに裁判所は「権力犯罪」のフレームアップを承認する――。
それぞれの弁護団が知力を尽くした〝論理の格闘〟とも言うべき裁判のドラマ!
横浜事件の“枕ことば”は、「戦時下最大の言論弾圧事件」というものです。
しかし出版史を振り返ってみると、これ以上の弾圧は見あたりません。なにしろ、20名を超える第一線の編集者が検挙されて凄惨な拷問にさらされた上(うち2名は獄死)、当時の知識層を対象とする代表的な総合雑誌2誌を出版していた出版社(中央公論社と改造社)が廃業させられたのです。
横浜事件は「戦時下」だけではなく、この国の出版史上最大の弾圧事件だったと言わなくてはなりません。
が、それにしては、この事件は名前だけは知られていますが、その実相・実態についてはよく知られているとは言えません。
今回の3部作の1冊『ドキュメント横浜事件』は、当時の原資料によって事件を再構成したものです。治安維持法はどんな法律だったのか、特高警察はいかに暴虐の限りを尽くしたか、また軍部がいかに横暴であったか――要するに日本ファシズムがどのようなものあったかを、原資料によって示したものです。
資料の中には今日の読者には読みづらいものもありますので、全部の資料に「解題」をつけ、その位置づけと意味について説明しています。
“歴史の現場”に立ち会う思いで読んでいただけたら、と希望しています。
この再審請求を行ったのは1986年、刑事補償請求の満額獲得で終わったのが昨2010年、24年の歳月を費やした裁判でした。この24年の総仕上げとして、刑事補償金のすべてを投入して製作したのが、この3部作です。
被害者がやっつけ裁判で有罪を宣告されたのは日本敗戦の直後、1945年。それから65年をへて、それが冤罪であったことが明らかにされました。
たんなる冤罪ではありません。特高警察と司法という国家権力が共同でフレームアップした虚構の事件による冤罪、つまり「権力犯罪」による冤罪です。
その冤罪を裁判所が認めるまでの裁判の全過程を追ったのが、『全記録:横浜事件・再審裁判』です。法律家、法学研究者に備えておいてほしい本です。
また24年にわたるこの裁判の軌跡をたどり、第二次・四次請求団の立場で総括したのが『横浜事件・再審裁判とは何だったのか』です。特高警察によって仕組まれた横浜事件の全容を知り、戦後40年をへてなぜ再審請求に立たねばならなかったのか、またそこで明らかにしたものは何だったのか、本書で明らかにされます。
近代日本の言論史に刻まれた「負の極点」として、横浜事件の実相が広く知られ、言論・出版の自由の後戻りを許さぬ歯止めとなることを願っております。
第一次再審請求(一九八六・7~一九九一・3)
請求審(横浜地裁)
■一九八六・7・3 再審請求
■ 〃 ・8・7 再審請求理由追加補充書
■ 〃 ・9・26 上申書(判決書探索要求)
■ 〃 ・9・30 書記官報告書
■一九八七・2・20 検察官意見書
■ 〃 ・11・13 弁護人意見書
■一九八八・3・28 決定(棄却)
即時抗告審(東京高裁)
■一九八八・4・1 即時抗告の申立
■ 〃 ・4・1 横浜地裁意見書(即時抗告否認)
■ 〃 ・5・25 即時抗告理由書
■ 〃 ・8・1 上申書(大川弁護人)
■ 〃 ・8・3 裁判所より検察官へ「求意見」
■ 〃 ・9・8 検察官意見書
■ 〃 ・10・20 即時抗告理由補充書
■ 〃 ・12・16 決定(棄却)
特別抗告審(最高裁)
■一九八八・12・24 特別抗告の申立て
特別抗告理由書
■ 〃 ・12・26 東京高裁判事意見書
■一九八九・2・28 抗告理由補充書(弁護団)
■ 〃 ・2・28 抗告理由補充書(新井弁護人)
■ 〃 ・12・15 上申書(大法廷回付・口頭弁論の開始の要請)
■一九九〇・2・5 上申書(ビデオ「横浜事件を生きて」提出の件)
■ 〃 ・8・15 求意見書(最高裁より最高検察庁検察官へ)
■ 〃 ・9・18 意見書(最高検検事から)
■ 〃 ・10・22 抗告理由補充書(検察官意見に対して)
■ 〃 ・10・24 抗告理由補充書
(「山本老再審請求事件」第一小法廷決定に関連して)
■一九九一・1・17 抗告理由補充書(大赦令による赦免と再審請求)
■ 〃 ・2・8 補充意見書(検察官より最高裁裁判長へ)
■ 〃 ・3・14 最高裁決定(棄却)
第二次再審請求(一九九四・7~二〇〇〇・7)
請求審(横浜地裁)
■一九九四・7・27 再審請求書
■ 〃 ・11・30 検察官意見書
■一九九五・3・2 意見書(検察官意見書反論)
■ 〃 ・4・11 再度、検察官意見書
■ 〃 ・6 意見書・二(検察官意見書反論)
■ 〃 上申書(小野貞)
■一九九六・7・30 決定(棄却)
即時抗告審(東京高裁)
■一九九六・7・30 即時抗告の申立て
■ 〃 ・9・30 抗告理由書
■一九九七・3・31 求意見書(高裁より高等検察庁の検察官へ)
■ 〃 ・4・7 検察官意見書
■一九九八・8・31 決定(棄却)
特別抗告審(最高裁)
■一九九八・9・7 特別抗告の申立て
■ 〃 ・9・7 申立て補充書
■ 〃 ・10・9 申立て補充書(二)
■一九九九・10・8 上申書(弁護人の追加選任)
■二〇〇〇・3・15 申立て補充書(三)
■ 〃 ・4・28 検察意見書
■ 〃 ・7・11 決定(棄却)
第三次再審請求(一九九八・8~二〇〇五・3)
請求審(横浜地裁)
■一九九八・8・14 再審請求書
■二〇〇〇・4・20 再審理由補充書(1)
■二〇〇一・1・26 再審理由補充書(2)
■ 〃 ・5・9 再審理由補充書(3)
■ 〃 ・5・9 再審理由補充書(4)
■ 〃 ・5・29 鑑定の請求
■ 〃 ・9・25 検察官・鑑定についての意見書
■ 〃 ・10・2 裁判所・鑑定についての決定
■二〇〇二・5・27 大石眞京大教授・鑑定意見書
■ 〃 ・7・1 検察官・鑑定嘱託書
■ 〃 ・12・20 浅古弘早大教授・鑑定意見書
■二〇〇三・2・5 再審請求最終意見書
■ 〃 ・4・15 決定(再審開始)
即時抗告審(東京高裁)
■二〇〇三・4・18 検察官・即時抗告申立書
■ 〃 ・4・21 地裁裁判官・意見書
■ 〃 ・7・10 弁護団・意見書
■ 〃 ・9・10 弁護団・意見書(2)
■二〇〇四・4・19 弁護団・即時抗告に対する決定促進を要望する上申書
■ 〃 ・12・9 弁護団・早期の棄却決定を求める上申書
■二〇〇五・3・10 決定(即時抗告棄却・再審開始決定)
第四次再審請求(二〇〇二・3~二〇〇八・10)
請求審(横浜地裁)
■二〇〇二・3・15 再審請求書
■ 〃 ・12・17 再審請求補充書(1)
■二〇〇三・5・19 再審請求補充書(2)
■ 〃 ・8・4 検察官意見書
■二〇〇四・6・22 検察官への求釈明書
■二〇〇五・3・17 上申書(検察官への釈明請求)
■ 〃 ・5・26 検察官釈明書
■二〇〇六・5・31 再審請求補充書(3)
■二〇〇七・11・5 再審請求補充書(4)
■二〇〇八・1・31 申立書(三者協議要望)
■ 〃 3・18 上申書(事件の実体判断を)
■ 〃 ・10・31 決定(再審開始)
第三次請求・再審公判(二〇〇五・5~二〇〇八・3)
第一審(横浜地裁)
■二〇〇五・5・26 検察官・意見書
■ 〃 ・5・30 弁護団・再審審理の方法に関する意見書
■ 〃 ・6・13 検察官・補充意見書
■ 〃 ・6・22 弁護団・再審審理の方法に関する補充意見書
■ 〃 ・10・17 検察官・意見書
■ 〃 ・10・17 弁護団・検察官の意見に対する反論書
■ 〃 ・12・12 検察官・補充意見書
■ 〃 ・12・12 検察官の意見に対する再反論書
■二〇〇六・2・9 判決(免訴)
■ 〃 ・2・9 請求人・弁護団「声明」
控訴審(東京高裁)
■二〇〇六・2・10 控訴申立書
■ 〃 ・9・8 冒頭意見・1
■ 〃 ・9・8 検察官意見書
■ 〃 ・10・5 検察官意見書に対する反論書
■二〇〇七・1・19 判決(棄却)
上告審(最高裁)
■二〇〇七・9・11 上告趣意書
■二〇〇八・2・28 第三次再審最高裁審理に関する法学者声明
■ 〃 ・3・14 判決(棄却)
■ 〃 ・3・14 最高裁判決に対する声明
第四次請求・再審公判(二〇〇九・2~二〇〇九・3)
第一審(横浜地裁)
■二〇〇九・2・17 佐藤博史主任弁護人弁論
■ 〃 ・2・17 大川隆司弁護団長弁論
■ 〃 ・3・6 佐藤主任弁護人弁論補充
■ 〃 ・3・30 判決(免訴)
第四次請求・刑事補償請求(二〇〇九・4~二〇一〇・2)
請求審(横浜地裁)
■二〇〇九・4・30 刑事補償請求
■二〇一〇・2・4 決定
第三次請求・刑事補償/費用補償請求(二〇〇九・5~二〇一〇・3)
請求審(横浜地裁)
■二〇〇九・5・29 刑事補償請求
■二〇一〇・2・4 決定
■二〇一〇・3・4 費用補償請求・決定