アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
CDブック獄中詩集 壁のうた
冤罪布川事件 無罪の29年・魂の記録
20歳のときに、地元で起きた布川事件の容疑者として別件逮捕され、警察の誘導による「目撃」証言を支えに、杉山卓男さんと共に無期懲役の刑を受けた。
仮出獄するまで29年に及ぶ獄中の桜井さんを支えたのは、面会や手紙を通じた多くの支援者との交流であり、自らを見つめ直す二百篇に及ぶ獄中での詩作であった。
刑務所の壁を前にして作り続けた魂の記録!
作家・森村誠一氏推薦!
なぜ 闇の中に
待つ
訴え
ボクは労働者
僕は眠りを知らない
僕の仕事
夢の中から
殺したいと思っても
夢を見たい
クスリは嫌いだ
猫
八、〇七八日目
シャバなみ
カラスの鳴く朝に
座標軸
あなたも有資格者
刑務所
記念日
孤独を知るとき
父母 愛する人へ
父ちゃんへの手紙
手
行方不明
父の暦
一度だけでも
しあわせ論
二十五年目のラブレター
玉手箱の中に
涙を流すのは
表札
季節・花・風
目くばせから
僕の正月
バラは咲いている
独房の中で
沈丁花
自由の中へ
夏が好き
同居者に
空
紅葉
季節のたびに
窓を拭く
春の楽しみ
いま あなたに
いま あなたに
面会
ただいま
光政さんに会えた
強さと優しさに
思う人
地図帖
限りなき日々へ
経歴書
また あした
一枚の写真に
春は
帰れる日が近づいて
仮 出 獄
この喜びを
第一号
プレゼント
沈丁花の下に
正月
現地調査
布川事件とは? 布川事件・桜井昌司さん、杉山卓男さんを守る会
冤罪・布川事件の真実 〈弁護士〉山本 裕夫
あとがき 桜井 昌司
桜井昌司(さくらい・しょうじ)
1947年1月 栃木県塩谷郡塩谷村に生まれる。
1962年4月 龍ヶ崎第一高等学校に入学。
同年9月 同校中退。いくつかの職を転々とする。
1967年10月 窃盗容疑で別件逮捕。知人の杉山卓男さんと共に同年8月、茨城県北相馬郡利根町布川で起きた強盗殺人事件の犯人とされ、以後29年間獄中で過ごす。83年に獄中から第一次再審請求を行うが、92年に棄却。千葉刑務所で服役中に2百編近い詩作と作曲に取り組む。
1996年11月 仮釈放で社会復帰後、利根町に住んで土木建築会社に勤務にしながら、第二次再審請求の実現に向け全国各地で訴える。
1999年7月 支援者の磯崎恵子さんと結婚。
2001年12月 日本弁護士連合会と日本国民救援会の支援の下に、杉山卓男さんと連名で水戸地裁土浦支部に第二次再審請求を申し立てる。
2005年9月 水戸地裁土浦支部彦坂孝孔裁判長、布川事件の再審開始を決定。検察が即時抗告し、再び東京高裁で審理される。
2008年7月 東京高裁門野博裁判長、再審開始決定を支持し、即時抗告を棄却。検察が異例の特別抗告、最高裁第二小法廷で三度審理される。
2009年12月 最高裁第二小法廷特別抗告を棄却、布川事件の再審開始が確定。
2010年7月 水戸地裁土浦支部で再審公判開始、同年12月まで6回の公判が行われる。弁護団は検察に謝罪と無罪論告を求めるが、検察は再び桜井・杉山両被告に無期懲役を求刑。
2011年5月 水戸地裁土浦支部神田大助裁判長、布川事件被告桜井・杉山両氏に無罪判決。事件発生後43年余を経て無実が明らかになった。