アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
虹を追うものたち
授業と演劇を通して自己変革をめざした生徒たちの軌跡
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「第51回読売教育賞児童生徒部門」優秀賞受賞!
初日の教室で担任に向かって「あんた、誰?」とうそぶいた元気なワルたち。そして今、目の前にいるのは目標もなく自分の殻に閉じこもる生徒たち。その彼らに「君は輝いているか!」と問い続ける担任。しりごみする生徒らを次々演劇部に誘い、舞台に立たせ、徹底して言葉にこだわる現代文の授業の中で、格闘しながら“生きる力”“考える力”を獲得させていった福岡・西日本短大附属高校での痛快な実践ドラマ!
──それはひとつの決意から始まった
やってやろうじゃないか!
初日の教室で「あんた、誰?」
難しいこと言われたっちゃ判らんやん
クラスを牛耳る顔ぶれ
行徳の涙、母の訴え
誤字だらけの作文の中に…
そうだ、演劇をやろう!
説得から“一本釣り”へ
演じるのは学校一の不良役
生徒らのつぶやきを脚本に
俺たちが先生を県大会に連れてってやる!
夢の県大会と行徳の母の死
この体験を風化させない!
第II章 予 感 ──一九九五年~一九九八年
──確かに何かが生まれつつある
先生、もう一度芝居やろうよ
“ミラクル三年六組”の挑戦
あの知康が見事なダンス!
劇を上まわる現実のドラマ
静まり返る会場に流れた審査結果
神様からのプレゼント
何としてもチョウになれ!
三年の時を経て──
卒業後の彼らを支えたもの
演劇部の顧問は江口先輩?
古川夫妻との出会い
芝居は誰のためにやるのか
新しい指導者の誕生
第III章 邂 逅 ──一九九九年
──試すように現れた閉じこもり集団
ガラス細工のような少女
無気力な“岩”と“クラゲ”の集団
休み始めたエリを演劇部に
心に響く同世代の説得
突き返されたエリの作文
エリとの出会い
自分の居場所が見つからない…
怒鳴られ鍛えられる部員たち
生徒はまだ何も変わっていない…
彼らの現実をそのまま脚本に
これじゃあ芝居はできない
嬉しい応援団たち
多くの人に支えられ、演じきった舞台
第IV章 変 貌 ──二〇〇〇年
──自己表現の面白さを知って
過去の自分と決別したエリ
野球部員たちの反発
揺れる演劇部員たち
ミホが書いた旅日記
テルヒサの作文「父との約束」
ユキの作文「私の父は中国人です」
ミホが教えてくれたもの
ミホの一人旅
共に育ち合う生徒、先輩、そして私
ユキの宣言
先生は介入しないで!
涙の半分は嬉し泣き
このままでは卒業させられない
第V章 蹉 跌 ──二〇〇一年
──沈黙する授業の中から
授業の半分を山口先生にゆだねる
戸惑い沈黙する教室
残り九カ月からの始まり(『迷う犬』別役実)
推参なる山口先生を倒す
初めての小説『任意の一点』(開高健)を読む
もっとハードルを高く!
時計の音が響く教室(『ミロのヴィーナス』清岡卓行)
考えることを楽しんで!
やっと動き始めた(『赤い繭』安部公房)
*安部公房『赤い繭』総括(抜粋)
夏休み課外での試み
真夏の四作品
目前の進路に焦る
自分から逃げるな(『文学のふるさと』坂口安吾)
最後の舞台だから
停滞した秋(『檸檬』梶井基次郎)
第VI章 そして…旅立ち ──二〇〇一年~二〇〇二年
──授業を通して共に何かを創り出す
落ち着きを取り戻した教室
倒されても起きあがる(『理性としての眼』津島佑子)
嬉しい知らせ
「水のエッセイ」コンテスト優秀賞「龍神の滝」
「総括」としての生徒たちの挑戦
最後のハードル(『藪の中』芥川龍之介)
時間が足りない!
冬休みの集中講義
文句無く合格です!
生徒たちの秘めた力
*エリのレポート作成記
卒業を目前にして
一年間を振り返って
共にたたかった仲間として
*「言葉」(生徒作文)
*「これで終わる人生じゃねぇだろ」(生徒作文)
第VII章 萌 芽 ──二〇〇三年
──卒業生たちは今・あとがきに代えて
〔解説〕 竹島・山口実践に見る青年期教育の原点……福岡教育大学教授 高田清