観光コ－スでない広島

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広島は壊滅した街、そして再生した街だ。
市の中心部に、郊外にいまも被爆建造物や被爆樹が残る。

「あの日」を忘れまいと作られてきたたくさんの碑石。
そこに人々はどんな歴史を刻んできたのか？
一方で広島は、アジアへの侵略の前線基地・軍都でもあった。

広島の街を歩きながら、ノーモア・ヒバクシャの思想と侵略の歴史を考え、ヒロシマの深層を見つめるための好評シリーズ第16作目！

 

 

 

 

はじめに　　　■澤野 重男
Ⅰ　廣島からヒロシマへ　　　■太田 武男　■澤野 重男
＊広島の歴史
＊原爆投下
＊被爆の実相
＊原爆の特徴と戦後の被爆者
＊被爆者運動とヒロシマの願い
Ⅱ　爆心地を歩く　　　■澤野 重男
＊原爆ドーム
＊原民喜詩碑
＊レストハウス・爆心地の語り部
＊原爆の子の像
＊平和記念都市建設法─広島復興の道すじ
＊原爆慰霊碑
＊峠三吉詩碑
＊全損保労働組合被爆二〇周年記念碑
＊嵐の中の母子像
＊原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑
＊広島市立高女原爆慰霊碑
Ⅲ　ヒロシマを歩く　　　■澤野 重男
　１　爆心地・中島と平和公園
＊平和公園・平和大橋・平和大通り
＊平和公園の中心軸と平和の灯
＊資料館・記念館・祈念館
＊平和観音像
＊中島本町復元地図
＊慈仙寺の墓跡
＊原爆供養塔
　２　日本の侵略と加害を記憶するもの
＊韓国人原爆犠牲者慰霊碑
＊高暮ダム朝鮮人犠牲者追悼碑と碑建設運動
　３　子ども・若者たちの社会参加
＊原爆犠牲ヒロシマの碑
＊「原爆の子の像」と「子ども平和像」
＊「せこへい」をつくった子どもたち
　４　核と放射線──さくら隊の人々
＊丸山定夫の場合
＊園井恵子・高山象三の場合
＊仲みどりの場合
＊さくら隊の碑
　５　ヒロシマを学ぶことの意義
＊被爆遺物の保存と継承の取り組み
＊被爆者の絵を街角に返す運動
Ⅳ　被爆建物をたずねる　　　■高橋 信雄
＊原爆ドームとレストハウス
＊袋町小学校・平和資料館
＊旧日本銀行広島支店
＊福屋百貨店
＊旧広島大学理学部一号館
＊アンデルセン
＊本川小学校・平和資料館
＊広島赤十字病院
＊江波山気象館
＊広島逓信病院
＊東照宮
＊国前寺
＊尾長天満宮
＊橋梁
Ⅴ　軍都広島を歩く　　　■高橋 信雄
＊広島城址
　▼天守閣　▼大本営と中国軍管区防空作戦室　▼被爆樹・ユーカリ
＊比治山から
　▼陸軍墓地　▼広島陸軍被服支廠　▼広島陸軍糧秣支廠　▼広島陸軍糧秣支廠倉庫・陸軍桟橋　▼似島
Ⅵ　ヒロシマをめぐる文化・芸術　141　　　■大井 健地
＊書きのこさねば──『夏の花』
＊人間の眼──原民喜が見たこと
＊非ヒバクシャでよそものだけど──詩
＊破壊的な光景──『続　羊の歌』の広島
＊調査と隠蔽──リーボー「日記」など
＊死の内の生命──リフトンの研究
＊「被爆者の英知を世に広めるために」
Ⅶ　広島周辺を歩く
　　◆今も昔も海軍のまち・呉　　　■是恒 高志
＊のどかな農漁村から軍都へ
＊大和と旧海軍で呉の街おこし
＊愛国と殉国が「平和の尊さ」
＊語り伝えたい反戦水兵のこと
＊てつのくじら館
　　◆世界遺産の島・宮島と大野浦　　　■澤野 重男
＊「町屋通り」を歩く
＊原爆と宮島
＊宮島と戦争遺跡
＊原爆と大野浦
＊「京大原爆災害調査班」の遭難
＊戦争・原爆・自然災害
　　◆地図から消された毒ガスの島・大久野島　　　■山内 正之
＊めずらしい毒ガス資料館
＊芸予要塞としての大久野島
＊毒ガス工場がつくられた大久野島
＊秘密裏につくられた毒ガス兵器
＊多くの毒ガス被害者が……
＊朝鮮戦争でも使われた大久野島
＊加害と被害の学習を
　　◆米軍再編に揺れる岩国　　　■吉岡 光則
＊「基地のまち・岩国」の始まり
＊「殴り込み部隊」
＊海上自衛隊も配備
＊基地の拡大強化──滑走路沖合移設事業
＊空母艦載機部隊等の移駐──「米軍再編」と岩国
＊新たな米軍基地としてねらわれた愛宕山
＊米軍の駐留を支える日本の財政負担
＊基地と住民の生活
Ⅷ　「ヒロシマ」点描　　　■太田 武男
　　①「広島壊滅」の第一報　②戦争変えた戦略爆撃　③隠された「被爆の実相｣　④プレスコード　⑤占領期の原爆観・平和観　⑥平和式典と平和宣言　⑦復興と被爆者　⑧ビキニ事件と原水禁運動　⑨原水爆禁止世界大会　⑩原子力の平和利用　⑪国家補償を求めて　⑫在外被爆者の救援　⑬継承運動

Ⅸ　広島まちなかアート探訪　　■大井 健地
おわりに




澤野重男（さわの・しげお）
1947年生まれ。元高校社会科教員。平和・国際教育研究会事務局次長、広島高校生平和ゼミナール世話人。著書『世界史をつくる子どもたち―平和・人権学習のすすめ』『ヒロシマ　希望の未来―核兵器のない世界のために』（ともに平和文化）など。


太田武男（おおた・たけお）
1940年、岡山県生まれ。中国新聞で編集委員、出版、データベース部長。被爆50周年企画『年表ヒロシマ』など一連の出版担当。2001年退職、現在日本ジャーナリスト会議代表委員。


高橋信雄（たかはし・のぶお）
1939年生まれ。元中学校社会科教員。現在、広島教育研究所事務局長、原爆遺跡保存運動懇談会副座長。


大井健地（おおい・けんじ）
1947年生まれ。筑摩書房、広島県立美術館をへて、広島市立大学教授、芸術資料館館長。広島県立図書館友の会会長。広島日伊協会理事。著書『大井健地の美術図書館』（形文社）など。


是恒高志（これつね・たかし）
1954年生まれ。中学校社会科教員で歴史教育者協議会会員。2005年の大和ミュージアム開設以来、呉の歴史について発信。紙芝居「戦争と闘った水兵と戦艦大和」がある。


山内正之（やまうち・まさゆき）
1944年生まれ。元公立学校社会科教員。退職後、大久野島の毒ガス被害・加害の歴史を伝えるボランテイア活動をしている。毒ガス島歴史研究所事務局長。


吉岡光則（よしおか・みつのり）
1946年、岩国市生まれ。元高校社会科教員。前山口県高等学校教員組合執行委員長。現在、山口県平和委員会代表理事、岩国平和委員会事務局長、山口県アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会理事長。