アジア新風土記(89)マラッカ - 2024.11.15
現代文学にみる沖縄の自画像
芥川賞作家三人を含め、数かずの文学賞受賞者を生みつづける沖縄――。
戦後27年間、米軍統治下におかれ、いまなお基地の重圧に苦しむ沖縄――。
独自の文化を育みながら、日本から押し寄せる開発と都市化の波に洗われつづける沖縄――。
その葛藤・確執のなかで、変容する沖縄の社会と、そこに生きる人びとを描いた小説や戯曲を通して――沖縄の近代文学研究・評論の第一人者が、沖縄の同時代史を読み解き、その底をつらぬいて流れる“沖縄の肝心”を浮き彫りにする!
「復帰」で二分される沖縄の「戦後五十年」
米軍統治下の沖縄の文学状況
一九六〇年代から「復帰」までの文学的収穫
新しい文学世代の登場と女性作家の輩出
文学に投影される「戦後五十年」
Ⅰ 沖縄戦の刻印
古川成美『沖縄の最後』
石野径一郎『ひめゆりの塔』
仲宗根政善『沖縄の悲劇 ――姫百合の塔をめぐる人々の手記』
嘉陽安男『捕虜』三部作
太田良博『黒ダイヤ』、山城正忠『香扇抄』
嶋津与志『戯曲・洞窟』
大城立裕『小説・神島』
又吉栄喜『ギンネム屋敷』
Ⅱ 「戦後」の彷徨
『うるま新報』
山田みどり『ふるさと』
亀谷千鶴子『すみれ匂う』
新崎恭太郎『蘇鉄の村』
霜多正次『沖縄島』
火野葦平『ちぎられた縄』
内村直也『戯曲・沖縄』
Ⅲ アメリカの影
長堂英吉『黒人街』
大城立裕『カクテル・パーティー』
伊佐千尋『逆転』
東峯夫『オキナワの少年』
又吉栄喜『カーニバル闘牛大会』
上原昇『一九七〇年のギャング・エイジ』
下川博『ロスからの愛の手紙』
中原晋『銀色のオートバイ』
吉田スエ子『嘉間良心中』
又吉栄喜『ジョージが射殺した猪』
Ⅳ 復帰前後
木下順二『戯曲・沖縄』
『名前よ立って歩け 中屋幸吉遺稿集』
比嘉秀喜『デブのボンゴに揺られて』
阿嘉誠一郎『世の中や』
嶋津与志『骨』
大城立裕『華々しき宴のあとに』
照井裕『フルサトのダイエー』
Ⅴ 女性と自立
仲村渠ハツ『母たち女たち』
田場美津子『仮眠室』
喜舎場直子『女綾織唄』
仲若直子『犬盗人』
白石弥生『生年祝い』
香葉村あすか『見舞い』
Ⅵ 沖縄の基層
知念正真『人類館』
知念功『ひめゆりの怨念火』
目取真俊『平和通りと名付けられた道を歩いて』
玉木一兵『お墓の喫茶店』
山里禎子『ソウル・トリップ』
長堂英吉『ランタナの花の咲く頃に』
江場秀志『午後の祀り』
崎山多美『水上往還』
小浜清志『風の河』
又吉栄喜『豚の報い』
沖縄=現代文学略年表
あとがき